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特集 生物進化の分子マップ 22.形態形成/分化
Hox遺伝子の進化
著者: 生田哲朗1 西駕秀俊2
所属機関: 1首都大学東京大学院理学研究科 2首都大学東京大学院理工学研究科
ページ範囲:P.504 - P.505
文献購入ページに移動Hox遺伝子クラスターの成立を考える時,Para-Hox遺伝子群を外すことはできない。Hox遺伝子に非常によく似た配列をもつGsx,Xlox,Cdxの三つの遺伝子が独自のクラスターを形成するこれらの遺伝子は,後生動物の進化のかなり早い段階で一つの遺伝子クラスター(ProtoHox遺伝子クラスター)からクラスターレベルの遺伝子重複によって生じたと考えられている2)(図1)。刺胞動物では,Hox遺伝子とParaHox遺伝子の両方が見つかっており,海綿ではいずれに相当するものも報告例はない。従ってProtoHox遺伝子クラスターの成立は,刺胞動物以前,海綿動物以後と考えられる。しかし,これまで知られている刺胞動物のHox遺伝子はすべてanteriorとposteriorグループに属するものに限られ,pg3とcentralに対応する遺伝子は見つかっていない。 またParaHox遺伝子についてもXloxが報告されていない。こうしたことから,刺胞動物と旧口・新口動物の共通祖先がanterior,posteriorに対応する二つのHox遺伝子のみをもっていたのか,pg3とcentral,Xloxは刺胞動物の系譜で失われたのかは未だ決着していない。
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