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特集 生物進化の分子マップ 23.免疫
硬骨魚の哺乳類IL-15ホモログ
著者: 末武弘章1 鈴木譲1
所属機関: 1東京大学大学院農学生命科学研究科附属水産実験所
ページ範囲:P.518 - P.519
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魚類のゲノム科学は脊椎動物の中でも特に進展が著しく,すでに,トラフグ1),ミドリフグ2),ゼブラフィッシュなどでゲノム配列の概要が報告されている。そもそもの出発点は比較ゲノムの対象としてではあったが,水産上重要魚種でのEST情報の蓄積もあいまって,免疫学など魚類の基礎科学は一変した。例えば,魚類の免疫関連因子の多くは哺乳類のものとの相同性が低いことから,その同定が著しく遅れていたが,魚類ゲノムデータベースにおける相同性検索およびシンテニー解析は,こうした因子の解明を極めて容易にしてしまった。特にタンパクレベルでの検出が困難なサイトカインにおいて威力を発揮し,この2-3年でIL-23),IL-124),IL-155),IL-213),IFN-γ6)など多くの魚類サイトカイン遺伝子が急激に同定され,魚類サイトカインブームといえる状況となった。現在はこれら魚類サイトカインの測定システムや組換え体を用いた機能解析などが精力的に進められており,魚類においても,サイトカインネットワークを介した免疫系調節機構の一端がようやく明らかになりつつあるのである。
魚類のゲノム科学は脊椎動物の中でも特に進展が著しく,すでに,トラフグ1),ミドリフグ2),ゼブラフィッシュなどでゲノム配列の概要が報告されている。そもそもの出発点は比較ゲノムの対象としてではあったが,水産上重要魚種でのEST情報の蓄積もあいまって,免疫学など魚類の基礎科学は一変した。例えば,魚類の免疫関連因子の多くは哺乳類のものとの相同性が低いことから,その同定が著しく遅れていたが,魚類ゲノムデータベースにおける相同性検索およびシンテニー解析は,こうした因子の解明を極めて容易にしてしまった。特にタンパクレベルでの検出が困難なサイトカインにおいて威力を発揮し,この2-3年でIL-23),IL-124),IL-155),IL-213),IFN-γ6)など多くの魚類サイトカイン遺伝子が急激に同定され,魚類サイトカインブームといえる状況となった。現在はこれら魚類サイトカインの測定システムや組換え体を用いた機能解析などが精力的に進められており,魚類においても,サイトカインネットワークを介した免疫系調節機構の一端がようやく明らかになりつつあるのである。
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