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特集 血管壁
血管平滑筋収縮の概観
著者: 伊東祐之1 井上隆司2 大池正宏1 森田浩光3
所属機関: 1九州大学大学院医学研究院生体情報薬理学教室 2福岡大学医学部生理学教室 3九州大学附属病院全身管理歯科
ページ範囲:P.545 - P.553
文献購入ページに移動最近の研究により,VSMCの収縮弛緩の制御には,骨格筋と同様アクチン側からの制御や新しいCa2+流入経路,新しいCa2+放出調節機序,MLCKの感受性の調節機序などが次々に明らかにされてきた。Ca2+は筋の収縮をはじめ受精から細胞死に至るまで多彩な生理機能を果たす。さらに最近の研究により,VSMCにおいても異なる刺激によるCa2+シグナルが異なる遺伝子発現とそれに引き続く転写を引き起すという5)。このように多彩で複雑なCa2+の生理機能を考察する時,種々の刺激により引き起されるCa2+濃度の細胞内上昇が一様に起こるとは考えにくく,その時間的空間的研究は重要である。さらに,これまで知られている細胞内へのCa2+流入経路やセカンドメッセンジャーであるIP3のみでこれらの複雑な生理機能が営まれているとは考えにくい。また[Ca2+]iの上昇とは無関係に収縮が引き起こされることも明らかにされてきた。このように,最近20年間のVSMCに関する研究の進展には著しいものがある。
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