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特集 血管壁
PI3-キナーゼクラスⅡαアイソフォームを介したカルシウムイオンによる血管収縮活性化の新機構
著者: 多久和陽1
所属機関: 1金沢大学大学院医学系研究科血管分子生理学
ページ範囲:P.570 - P.574
文献購入ページに移動長い間,カルシウムによって引き起こされるMLCリン酸化は,もっぱらリン酸化酵素であるMLCKの活性化によると考えられてきた。ところが,われわれは最近,カルシウムがMLCを脱リン酸化する酵素ミオシンホスファターゼ(MLCP)の抑制を誘導することを見出した2)。この発見により,[Ca2+]iの上昇はMLCK活性化とMLCP抑制の二つの作用を介して,効率的にMLCリン酸化レベルの上昇,さらには平滑筋収縮を引き起こすことが明らかとなった。カルシウムによるMLCP抑制は低分子量G蛋白Rhoを介するが,われわれは,カルシウムによるRho活性化にホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)クラスⅡアルファ酵素(PI3K-C2α)が関与していることを見出した3)。 本稿では,これらCa2+による血管収縮活性化機構の新展開について述べる。
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