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文献詳細

雑誌文献

生体の科学57巻6号

2006年12月発行

特集 血管壁

正常血管と腫瘍血管

著者: 戸井雅和1 牟田真理子1

所属機関: 1東京都立駒込病院外科

ページ範囲:P.580 - P.584

文献概要

 正常の血管では血管内皮細胞が管腔を形成し,その外周を成熟壁細胞(平滑筋細胞,ぺリサイト)が取り囲んでいる。成長過程における組織の発達や分化の際には血管は盛んに形成されるが,成熟個体での血管新生は創傷治癒,女性の卵巣,子宮など限られた状態で認められる。また,網膜症,リウマチ性関節炎などの慢性炎症,血管性疾患,腫瘍などが存在する場合には病巣局所に活発な病的血管新生が認められ,各々の疾患の病態形成に深く関与している。特に腫瘍増殖には半永続的な血管新生が必須であり,腫瘍血管新生の活性度は腫瘍の増殖速度に大きな影響を与え,転移や予後と密接に相関する。腫瘍血管は腫瘍細胞と間質系細胞の相互作用によって形成されると考えられているが,正常の血管と比べると極めて未成熟で,脆弱,血管壁細胞の欠如や未成熟をしばしば伴い,構造的不統一,透過性亢進などの特徴を有する。本項では腫瘍血管の特性,腫瘍進展との関連性を中心に解説する。

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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