文献詳細
特集 意識―脳科学からのアプローチ
意識の神経基盤を画像化する
著者: 神作憲司1
所属機関: 1国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所感覚機能系障害研究部感覚認知障害研究室
ページ範囲:P.46 - P.52
文献概要
「意識内容」については,これまでも多くのシステム神経科学者が(意識的であれ,無意識的であれ),研究の対象としてきた。そしてこの意識内容に迫る有力な切り口が,意識にのぼる脳内情報処理と,意識にのぼらない膨大な脳内情報処理(無意識)との相互作用・相互依存性への着目1)と考えられる。いわゆる「気付き」に着目した研究は,視覚刺激を用いた実験系で最も制御しやすいため,これまで主に視覚入力の主観的知覚を対象として行われてきており,本稿でもまず始めに,これらに関連する神経画像研究について紹介させていただく。さらに,意識内容は感覚入力の処理のみならず,運動出力の処理においても「主体感覚」として認識される。感覚運動の情報処理過程に沿って意識内容について論じていくことが,意識の理解に有用だろう3)(図1)。本稿では次に,この感覚運動の情報処理過程に沿って,意識内容についての神経画像研究の全体像を紹介する。
参考文献
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