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特集 シナプス後部構造の形成・機構と制御
文献概要
スパインはCajalにより最初に記載され,その後Crickによる記憶の最小素子としての役割が提唱され注目を集めるようになった。スパインの役割が今日のように脚光を浴びるようになったのは,分子および生物学的手法と電気生理学手法により,スパインダイナミクスとその機能解析ができるようになったことに依存している。また,精神遅滞(mental retardation)や統合失調症の病理脳でスパインの形態異常が認められることが判明し,スパインの形成および構造,機能異常面からのアプローチも飛躍的に発展した。
スパインは樹状突起より突出する構造物で,軸索に由来するシナプス前部との会合によりシナプスを形成する。従って,スパインはシナプス形成後のシナプス後部のみを指すのではなく,その前駆体を含めた広義の樹状突起の突出構造物である。電子顕微鏡を用いると,興奮性シナプスのシナプス後部に電子密度の高い特徴的肥厚構造が観察される。これをシナプス後肥厚部(postsynaptic density;PSD)と呼んでいる。PSDは細胞接着因子とその受容体・神経伝達物質受容体(NMDA受容体・AMPA受容体・代謝性グルタミン酸受容体など)と多数の足場蛋白質(PSD蛋白質)の集積により構築されており,シナプス形成・可塑性・神経伝達に中枢的役割を果たしている。PSD蛋白質群の検索と機能解析が,PSDの役割解明の糸口となった。本稿では,PSD蛋白質からスパインダイナミクスを概観する。
スパインは樹状突起より突出する構造物で,軸索に由来するシナプス前部との会合によりシナプスを形成する。従って,スパインはシナプス形成後のシナプス後部のみを指すのではなく,その前駆体を含めた広義の樹状突起の突出構造物である。電子顕微鏡を用いると,興奮性シナプスのシナプス後部に電子密度の高い特徴的肥厚構造が観察される。これをシナプス後肥厚部(postsynaptic density;PSD)と呼んでいる。PSDは細胞接着因子とその受容体・神経伝達物質受容体(NMDA受容体・AMPA受容体・代謝性グルタミン酸受容体など)と多数の足場蛋白質(PSD蛋白質)の集積により構築されており,シナプス形成・可塑性・神経伝達に中枢的役割を果たしている。PSD蛋白質群の検索と機能解析が,PSDの役割解明の糸口となった。本稿では,PSD蛋白質からスパインダイナミクスを概観する。
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