icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学58巻2号

2007年04月発行

文献概要

特集 シナプス後部構造の形成・機構と制御

スパイン形成とシナプス後部アクチンの特殊化―ドレブリンの関与

著者: 高橋秀人1 白尾智明1

所属機関: 1群馬大学大学院医学系研究科高次細胞機能学

ページ範囲:P.103 - P.107

文献購入ページに移動
 中枢神経系において,興奮性シナプス(グルタミン酸作動性シナプス)の約9割は樹状突起から伸びる大きさ1ミクロン程度の小突起上に形成されている1)。この小突起を樹状突起スパインとよぶ。樹状突起スパインの大きさとそのスパインが持つシナプス伝達効率には強い相関がある2)ことから,樹状突起スパインがどのように作られるかは,脳機能の発達・成熟にとって重要な問題となっている。

 スパインは脳の発達過程で特徴的な形態変化を示す。生まれたばかりのネズミの脳の神経細胞樹状突起には,フィロポディアと呼ばれる細長い先細りの突起が多数存在する(図1左)。フィロポディアは運動性が高く,軸索との接触をシナプス形成期に盛んに行う。そして,生後2週頃から,頭部と頚部を持つキノコ状のいわゆる成熟したスパイン(図1右)(以下,この成熟スパインをスパインと呼ぶ)が急激に増加し始める3)。では,一体どのようにしてスパインが形作られていくのだろうか。最近のタイムラプスイメージングの研究成果などから,樹状突起フィロポディアと軸索との物理的接触がシナプス結合の始まりであり,軸索と接触したフィロポディアがスパインへ変化すると考えられている4)。しかし,スパインへ変化する途中のフィロポディアの実体はどのような小突起なのか,さらには,フィロポディアからスパインへの形態変化がどのような分子機構によって担われているのかは不明であった。

参考文献

9:343-348, 1999
4:1086-1092, 2001
12:2685-2705, 1992
17:91-102, 1996
23:6586-6595, 2003
97(Suppl 1):110-115, 2006
22:290-295, 1999
10:527-541, 2000
(Tokyo) 117:231-236, 1995
40:1-7, 2001
3:109-112, 1992
215:145-153, 1994
16:7161-7170, 1996
269:29928-29933, 1994
66:980-988, 1996
30:149-157, 2005
29:469-484, 2001
19:801-812, 1997
28:229-238, 2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?