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特集 シナプス後部構造の形成・機構と制御
神経回路におけるシナプス入力特異性とPMES-2
著者: 田口隆久1
所属機関: 1産業技術総合研究所セルエンジニアリング研究部門
ページ範囲:P.113 - P.118
文献購入ページに移動脳の高次機能が神経細胞のつくる回路網の動的変化に因ることは自明である。したがって,この変化の個々の分子や個々の細胞の動態を見据えながら意味との相関を探求する必要がある。解離培養系は計測手法のアクセスの容易さから,そのための優れた実験系のひとつである。われわれは早くからこれに適した実験系の検討を開始し,ニワトリ胚大脳の神経細胞培養系を確立した(図1)1)。このニワトリ胚培養系はシナプス形成の詳細な解析に適した系であり2),活動依存的回路形成3),サイレントシナプスの先行形成4)を明確に示すことができた。また,刷込み現象の臨界期におこるシナプス機構変化も明らかにした5)。
シナプスの動的な変化に関わる分子を探索する目的で神経突起伸長促進蛋白質の同定や構造機能解析を行い,Neurocrescin,MDP77などを発見した6-10)。 また,長期増強(LTP)に代表されるシナプス可塑性がこの系で解析可能であることを示し,LTPを誘導する蛋白質因子の存在を明らかにした11-14)。
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