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連載講座 中枢神経系におけるモジュレーション・3
神経栄養因子BDNFの機能変調と精神疾患の発症
著者: 狭間俊介1 小島正己1
所属機関: 1産業技術総合研究所セルエンジニアリング研究部門
ページ範囲:P.144 - P.148
文献購入ページに移動誘引性の分泌タンパク質が神経回路の形成を調節するというトロフィック仮説の検証には,神経成長因子(NGF:nerve growth factor)をはじめとしたニューロトロフィン(neurotrophins)の発見1)とその研究が貢献してきた。ニューロトロフィンは,NGF,脳由来神経栄養因子(BDNF:brain-derived neurotrophic factor),ニューロトロフィン-3(NT-3:neurotrophin-3)およびニューロトロフィン-4/5(NT-4/5:neurotrophin-4/5)から成る成長因子ファミリーであるが,その生理機能は1)神経細胞の生存維持,2)神経突起の伸長,3)シナプス機能の亢進とシナプス数の増加など多様である。つまり,ニューロトロフィンはトロフィック仮説で想定された狭義の概念を超えた多機能因子となった2,3)。
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