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文献詳細

雑誌文献

生体の科学58巻3号

2007年06月発行

特集 骨の形成と破壊

骨の機械的刺激への応答性

著者: 野田政樹1 溝口史高1 神田智厚1 林央子1 斉田良知1

所属機関: 1東京医科歯科大学難治疾患研究所分子薬理学

ページ範囲:P.191 - P.195

文献概要

1 骨と物理的刺激の関わり

 骨の組織がメカニカルストレス応答してその量の増加をみたり,また無重力や寝たきりなどの物理的な刺激がない状態においては,骨量の速やかな減少が起こることは経験的にも明らかであり,また骨量の維持のために臨床上も重要な事項となっている1,2)。一方で,このような骨の機械的な刺激に対する応答性のメカニズムは,現在もなお充分には明らかではない。

 骨のメカニカルストレスへの応答機序は細胞がその入口となる。骨の組織の中では,骨細胞がメカニカルストレスの感受性に役割を持つと推察されている3,4)。骨細胞は樹状突起を多数持ち,これが存在する骨基質の中の骨細管において起こる液流動に伴う細胞側の応答が推察されている5)。このような骨における骨液の動きは,刺激の頻度や強さに依存しており,低レベルの刺激の強さであっても,その回数が多い場合には刺激として骨形成に有効であり,またインパクトの強い刺激などもスポーツマンにおける骨のように骨の形成を促進するとされる。さらに細胞レベルにおいても液流動によって細胞が応答するとされている。これまでin vitroでは,細胞の液流動への応答が確認されている6-14)。このような応答は血管内皮の細胞においても観察されている。骨の細胞においては一酸化窒素(NO)15,16)やプロスタグランディン16)などが液流動の刺激の結果産生され,またこれによる骨の細胞への制御が考えられている。

参考文献

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2007(in press)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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