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特集 骨の形成と破壊
炎症性骨破壊と破骨細胞
著者: 田中栄1
所属機関: 1東京大学医学部整形外科
ページ範囲:P.205 - P.210
文献購入ページに移動 炎症とは,生体組織になんらかの器質的変化をもたらす侵襲が加わった場合に,自己の恒常性を維持するために誘導される生理的な反応である。侵襲には外傷や放射線などの物理的・化学的刺激,感染,アレルギー,自己免疫によるものなどが挙げられる。炎症にともなう反応,いわゆるCelsusの炎症四徴(腫脹tumor,発赤rubor,熱感color,疼痛dolor)は,侵襲の原因となった異物の除去や,傷害された組織を修復するために惹起される生体反応であり,生体の正常な防御反応であるといえる。しかしながら,このような炎症反応が不必要に亢進したり,長期間持続したりすると,生体にとってさまざまな不都合な症状を呈するようになる。例えば代表的な慢性炎症性疾患である関節リウマチ(rheumatoid arthritis, RA)においては持続する滑膜炎によって骨・軟骨破壊が生じ,正常な関節機能が破綻して患者のADL(activity of daily living),QOL(quality of life)を著しく損ねる。また歯周病においても,歯槽骨の病的な吸収によって歯牙の安定性が損なわれ,最終的には歯牙の損失を生じることが知られている。このように炎症と骨吸収は密接な関係をもっているが,そのメカニズムが分子レベルで明らかになってきたのは最近のことである。本稿ではRAにおける骨破壊機序を中心として,炎症と骨破壊との関係について考察したい。
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