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文献詳細

雑誌文献

生体の科学58巻3号

2007年06月発行

文献概要

解説

造血幹細胞とニッチ

著者: 新井文用1 須田年生1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部坂口光洋記念講座発生・分化生物学

ページ範囲:P.230 - P.236

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 成体の各組織における幹細胞システムは,幹細胞と隣接する細胞・組織との相互作用によって成り立っている。この幹細胞が維持・増殖する部位は「ニッチ」と呼ばれ,幹細胞はニッチにおいて細胞周期を静止した状態に保つことで,長期にわたりその未分化性を維持している。成体における造血器官は骨髄であり,造血幹細胞により個体の一生にわたり造血が維持される。骨髄中には造血細胞以外に間質細胞が存在し,造血支持の観点から,骨髄間質細胞は造血幹細胞の自己複製・分化を制御する種々のサイトカインや細胞接着分子を産生することで,造血支持における支持細胞(ストローマ細胞)として機能している。近年,骨髄における造血幹細胞の局在が解析され,幹細胞は骨芽細胞,血管内皮細胞と接着して存在していることが明らかとなり,骨髄のストローマの中でも特に骨芽細胞や血管内皮細胞が造血幹細胞のニッチにおける支持細胞,いわゆるニッチ細胞として機能していることが明らかとなってきた(図1)1-3)。特に,内骨膜表面で骨芽細胞と接着している造血幹細胞には,細胞周期上の静止状態を維持している。骨芽細胞と造血幹細胞はTie2/Angiopoietin-1(Ang-1)のようなサイトカインシグナル,N-カドヘリンなどの接着分子を介して相互作用し,長期にわたり静止状態,自己複製能を維持していると考えられる4)

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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