文献詳細
文献概要
特集 嗅覚受容の分子メカニズム
嗅覚初期過程のシステム的理解―嗅繊毛内エネルギー変換の生物物理化学
著者: 倉橋隆1
所属機関: 1大阪大学大学院生命機能研究科生理学研究室
ページ範囲:P.269 - P.274
文献購入ページに移動 「香りの感覚」というわれわれのからだの営みは,一昔前には文学的な表現で語られることが多かった分野である。これには,香り分子としてのリガンドの多様性,ナノスケールの嗅繊毛での分子動態計測が実験的に困難であったという研究手法的限界が原因となってきた。しかし,多様性を網羅する分子生物学的手法に加え,近年の電気生理学の即時的応答測定法や光学的測定法,さらには光学的物質操作によるナノテクノロジー的手法を組み入れた最先端研究により,直径100-200nmという超微小な細胞空間としての嗅繊毛内での実時間での物質動態までが記載されるまでになり,驚くべきほど劇的な知見の進展を見ている。いまや嗅覚の研究は,生命科学研究の全領域を見渡しても,生物の多様性対応やナノバイオサイエンス領域の観点で最も先端的な科学領域の一つであるとしても過言ではあるまい。
本稿では,これらの最先端研究の研究手法の詳細を盛り込み,香りの受容過程におけるいくつかの具体的各論,たとえば,「匂い1分子受容の可否」,「情報増幅機構」,「受容濃度領域」や「香り順応」などのトピックスに焦点をおき,物質的・分子的なレベルで理解される範囲を記載する。
本稿では,これらの最先端研究の研究手法の詳細を盛り込み,香りの受容過程におけるいくつかの具体的各論,たとえば,「匂い1分子受容の可否」,「情報増幅機構」,「受容濃度領域」や「香り順応」などのトピックスに焦点をおき,物質的・分子的なレベルで理解される範囲を記載する。
参考文献
541:825-833, 2002
366:283-286, 1993
45:553-561, 2005
26:1023-1027, 2001
308:1931-1934, 2005
25:11084-11091, 2005
325:442-444, 1987
363:71-74, 1993
24:7931-7938, 2004
45:553-561, 2005
92:7864-7868, 1995
掲載誌情報