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特集 嗅覚受容の分子メカニズム
鋤鼻系におけるフェロモン記憶のシナプスメカニズム
著者: 市川眞澄1
所属機関: 1(財)東京都医学研究機構東京都神経科学総合研究所
ページ範囲:P.314 - P.319
文献購入ページに移動 鋤鼻系は鋤鼻器に始まり副嗅球,扁桃体内側部を経て,視床下部に到達する系(図1)で,フェロモン物質を受容し母性行動や生殖行動に関わる神経路とされ,種の保存の重要な機能にかかわっている1-2)。鋤鼻器で受容されたフェロモンは鋤鼻系を経由し,最終的には視床下部の隆起漏斗系から生殖腺刺激ホルモン放出ホルモンなどの下垂体調節ホルモンが分泌され,下垂体からの生殖腺刺激ホルモンなどのホルモン分泌をうながし,その結果,たとえば雌では生殖行動可能の状態を誘導する。また,鋤鼻系は外界環境や内分泌系の影響を受け,可塑的な変化をすることが知られている3-5)。動物のこの適応戦略の一つに,匂い(フェロモン)を記憶する現象が知られている。本稿では,このメカニズムについて述べる。
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