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特集 タンパク質間相互作用 11.細胞接着
カドヘリン-カテニン複合体形成の分子機構
著者: 永渕昭良1
所属機関: 1熊本大学発生医学研究センター初期発生分野
ページ範囲:P.428 - P.429
文献購入ページに移動 細胞接着分子カドヘリンは強固な細胞間接着を司り,多細胞体制の構築に重要な役割を果たしている。細胞間接着に直接関与するのはカドヘリン分子の細胞外領域であるが,この細胞外領域による結合だけではカドヘリン特有の強固な細胞間接着能を示すことはできない。カドヘリンが完全な機能を果たすためにはその細胞質領域を介してβカテニン,αカテニンという細胞質因子と複合体を作り,最終的にαカテニンを介してアクチン系細胞骨格と相互作用することが必要である1)。
βカテニンはカドヘリン,αカテニンと直接結合し,カドヘリン-カテニン複合体形成において中心的な役割を果たしている。一方でβカテニンはWntシグナル伝達の転写調節としても重要な役割を果たしている。Wntシグナル伝達の調節のために,細胞質βカテニンの発現量は分子のリン酸化,ユビキチン化を介した精妙なプロテアソーム系のタンパク分解機構において制御されている。このためβカテニンはカドヘリン以外にも分解系に関わるAPCやAxin,転写活性化因子TCF/LEF-1,転写抑制因子ICATなど非常に多くの細胞質因子と相互作用している2)。最近多くの研究が発表されているβカテニンとその結合タンパク質との結晶解析の結果を元に,この多機能分子の機能調節の仕組みを考えたい。
βカテニンはカドヘリン,αカテニンと直接結合し,カドヘリン-カテニン複合体形成において中心的な役割を果たしている。一方でβカテニンはWntシグナル伝達の転写調節としても重要な役割を果たしている。Wntシグナル伝達の調節のために,細胞質βカテニンの発現量は分子のリン酸化,ユビキチン化を介した精妙なプロテアソーム系のタンパク分解機構において制御されている。このためβカテニンはカドヘリン以外にも分解系に関わるAPCやAxin,転写活性化因子TCF/LEF-1,転写抑制因子ICATなど非常に多くの細胞質因子と相互作用している2)。最近多くの研究が発表されているβカテニンとその結合タンパク質との結晶解析の結果を元に,この多機能分子の機能調節の仕組みを考えたい。
参考文献
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