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特集 タンパク質間相互作用 11.細胞接着
ネクチンに関わるタンパク質間相互作用
著者: 力武良行1 高井義美2
所属機関: 1神戸大学大学院医学系研究科分子細胞生物学 2大阪大学大学院医学系研究科生化学・分子生物学講座(分子生物学)
ページ範囲:P.432 - P.434
文献購入ページに移動ネクチンは免疫グロブリンスーパーファミリーに属する接着分子で,ネクチン-1,-2,-3,-4の4分子から構成される1-3)。カドヘリンと協調して,上皮細胞におけるアドヘレンスジャンクション(AJ)の形成や神経細胞におけるシナプス形成,眼の毛様体における色素上皮と非色素上皮間接着の形成などに関わる。一方,カドヘリン非依存的にも,精細管上皮におけるセルトリ細胞と精子細胞間の接着,個体発生時の神経回路網形成時における神経細胞の軸索と底板細胞との接着などに関与する。また,ネクチンは細胞内外で多種多様な分子と結合して巨大な分子複合体を形成する。細胞外ではネクチンはネクチン同士でトランスに結合するほか,細胞-細胞外基質間接着の接着分子であるインテグリンや血小板由来増殖因子(platelet-derived growth factor:PDGF)の受容体ともシスに結合して複合体を形成する。一方,細胞内では,アファディンと結合してアクチン細胞骨格と連結するとともに,アファディンや細胞極性因子Par-3を介して,間接的にα-カテニン,ZOタンパク,アネキシンⅡ,IQGAP1などの膜タンパクや種々のシグナル伝達分子と結合し,相互作用して複合体を形成する。このように,ネクチンは細胞内外で巨大な分子複合体を形成して,接着や運動,増殖などの細胞機能を制御している(図1)。
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