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特集 タンパク質間相互作用 12.細胞骨格
ERM(Ezrin/Radixin/Moesin)タンパク質におけるタンパク質間相互作用
著者: 田村淳1 月田早智子1
所属機関: 1大阪大学大学院生命機能研究科個体機能学講座分子生体情報学
ページ範囲:P.448 - P.450
文献購入ページに移動われわれは,肝細胞の毛細胆管アピカル膜より1989年にRadixinを同定した。その後のcDNA配列の解析を行った際,RadixinがBretscherやFurthmayrの研究室で各々解析されていたEzrinやMoesinとファミリーを形成することを見出し, ERMファミリーという名称を提唱し,今日広く受け入れられている1-4)。ERMタンパク質は,そのN末で直接的あるいは間接的に細胞膜に結合し, C末でアクチンフィラメントに結合する。このようなリンカータンパク質としての活性は低分子量GTP結合タンパク質Rhoの制御を受け,活性型のopen型とN末とC末の結合した不活性型のclosed型の二つの型を取る。Rhoの活性化に伴い,細胞膜の近傍で活性化されたPI4P5KはPIPをリン酸化しPIP2とする。ERMタンパク質はFERMドメインでPIP2に結合するが,PIP2に結合したERMタンパク質はN末とC末間の分子内結合を阻害され,さらにRhoの下流にあるキナーゼによりC末側のERMに保存するスレオニン残基がリン酸化されることで,open型活性化状態が維持される。活性型ERMタンパク質のFERMドメインにはRhoGDIが結合し,RhoGDPの遊離とRhoGTPの産生を促し,ポジティブフィードバック回路を形成する。
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