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特集 タンパク質間相互作用 16.神経系
スパイン形成過程におけるタンパク質間相互作用
著者: 高橋秀人1 白尾智明1
所属機関: 1群馬大学大学院医学系研究科高次細胞機能学
ページ範囲:P.472 - P.473
文献購入ページに移動スパインには細胞骨格のうち,微小管や中間系フィラメントは存在せず,アクチン細胞骨格のみが存在する。興味深いことに,スパインの形成過程にともなって,アクチン結合蛋白の種類が大きく変化する(図1)。スパインの前駆体と考えられる糸状仮足(フィロポディア)では,非神経細胞などにも発現しているトロポミオシンやファシンなどが存在するが,成熟スパインに特徴的なアクチン結合蛋白であるドレブリンはまだ集積していない。ドレブリンは神経特異的なアイソフォーム(ドレブリンA)の発現上昇と並行して,スパインに集積するようになる2)。生化学的解析によると,ドレブリンとアクチン線維との結合は,α-アクチニンやファシンのアクチン線維との結合を競合的に阻害する3)。この作用により,ドレブリンはトロポミオシンやファシンなどをアクチン線維から解離させて,フィロポディアからスパインへの構造変化を引き起こすと考えられる。
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