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文献詳細

雑誌文献

生体の科学58巻5号

2007年10月発行

文献概要

特集 タンパク質間相互作用 16.神経系

Necdinの核マトリックスターゲティングと抗増殖作用に関与するタンパク質間相互作用

著者: 谷浦秀夫1

所属機関: 1金沢大学大学院自然科学研究科

ページ範囲:P.474 - P.475

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 Necdin cDNAは神経系への分化誘導を行った胚性がんP19細胞により単離され,マウス発生初期,少なくとも10日目胚より脳においてその発現が認められる。Necdin遺伝子の最も注目される事柄は,その遺伝子がゲノムイムプリンティングに関連した神経発達障害であるPrader-Willi症候群欠損領域である15番染色体q11-13に存在し1),その原因遺伝子であると考えられていることである。Prader-Willi症候群欠損領域上の遺伝子は,父親由来のアレルのみから発現し,母親由来のアレルは抑制されている。Prader-Willi症候群の大部分は,この領域の父親由来アレルの欠損あるいは両アレルとも母親由来であることが原因である。Prader-Willi症候群のおもな症状には,呼吸障害,低身長,性器発達障害,知能低下,肥満,末梢感覚障害などのほか,自閉症などに見られるような行動異常が認められる。これらの症状の多くは,視床下部ニューロンの発達障害に由来するものと考えられている。

 現在のところPrader-Willi症候群欠損領域上の遺伝子のなかで,Necdin遺伝子欠損マウスのみがPrader-Willi症候群類似の症状を呈している。Necdin遺伝子欠損マウスでは呼吸障害による致死(呼吸中枢ニューロンの異常),視床下部ホルモン産生ニューロンの減少,交連神経突起の伸展異常,感覚神経節ニューロン死の増加などが報告されている。視床下部ホルモン産生ニューロンの分化にはHLH型転写因子であるNSCLが関与しているが,NSCLがNecdin遺伝子プロモーター上のE box配列に結合してその転写を誘導することが報告されている。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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