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特集 タンパク質間相互作用 16.神経系
シナプスでの情報伝達と可塑性に関与するタンパク質間相互作用
著者: 千村崇彦1
所属機関: 1理化学研究所脳科学総合研究センター記憶学習機構研究チーム
ページ範囲:P.478 - P.479
文献購入ページに移動 シナプスは神経細胞間の情報伝達という特徴的な機能を有しており,それゆえその機能を保証する特異的な構造をしている。中枢神経系におけるシナプスにはおもにグルタミン酸の放出と受容による興奮性シナプスと,GABAの放出と受容による抑制性シナプスがある。ここでは海馬神経細胞での結果を中心に,神経伝達物質受容体周辺の相互作用について図示した。シナプスでの情報伝達を担う蛋白質間相互作用は大きく次の二つに分けられる。一つは細胞外における相互作用,もう一つは細胞内における相互作用である。以下,因子名の記載のある箇所は随時図を参照されたい。
細胞外での相互作用にはおもに細胞接着因子が関与しており,シナプス前部(プレシナプス)と後部(ポストシナプス)を連結させる役割を果たす1)。ここに関わる多くの蛋白質が膜貫通ドメインによってプレシナプスまたはポストシナプスの膜に局在し,細胞外領域を使って相互作用している。例えば,Neurexin,Neuroliginはそれぞれプレシナプス,ポストシナプスに局在し,細胞外ドメイン同士が直接相互作用する。各々がファミリーを形成し,また複数のスプライスバリアントを有し,そのタイプに応じて相互作用の特異性が変わる。抑制性シナプスに特異的に局在する細胞接着因子としてneuroligin-2のほかにβ-dystroglycanが知られている。
細胞外での相互作用にはおもに細胞接着因子が関与しており,シナプス前部(プレシナプス)と後部(ポストシナプス)を連結させる役割を果たす1)。ここに関わる多くの蛋白質が膜貫通ドメインによってプレシナプスまたはポストシナプスの膜に局在し,細胞外領域を使って相互作用している。例えば,Neurexin,Neuroliginはそれぞれプレシナプス,ポストシナプスに局在し,細胞外ドメイン同士が直接相互作用する。各々がファミリーを形成し,また複数のスプライスバリアントを有し,そのタイプに応じて相互作用の特異性が変わる。抑制性シナプスに特異的に局在する細胞接着因子としてneuroligin-2のほかにβ-dystroglycanが知られている。
参考文献
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