特集 タンパク質間相互作用
18.内分泌
アンドロゲン受容体とコリプレッサーの相互作用
著者:
河手久弥1
柳瀬敏彦2
高柳涼一2
所属機関:
1九州大学大学院医学研究院老年医学
2九州大学大学院医学研究院病態制御内科学
ページ範囲:P.490 - P.491
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アンドロゲンは性腺および副腎で合成・分泌され,標的臓器においてアンドロゲン受容体(AR)を介してその生理作用が発揮される。ARは核内受容体スーパーファミリーに属するタンパク質で,リガンド非依存性の転写活性化ドメイン(AF-1)を含むアミノ末端ドメイン(NTD),中央には2個のZnフィンガーモチーフからなるDNA結合ドメイン(DBD),カルボキシル末端にはリガンド依存性の転写活性化ドメイン(AF-2)を含むリガンド結合ドメイン(LBD)などの共通の構造をもっている(図1)。リガンドがない状態では,ARは熱ショックタンパク質などと複合体を形成して細胞質に局在しているが,リガンドが結合してARの構造変化が起こると,細胞質から核内へと移行し,標的遺伝子の発現調節領域に存在するアンドロゲン応答配列に結合して,その遺伝子の転写を制御する。
近年,ARを含む核内受容体を介する転写活性化を制御するタンパク質が数多く同定されている。これらは,転写活性化を促進するコアクチベーター(coactivator)と,転写活性化を抑制するコリプレッサー(corepressor)に分けられる。