特集 グリケーション(糖化)
AGEs(終末糖化産物)にはどのようなものがあるか―毒性終末糖化産物仮説
著者:
竹内正義1
佐藤隆1
瀧野純一1
小林由佳1
古野理美1
山岸昌一2
所属機関:
1北陸大学薬学部生体機能薬学系病態生理化学
2久留米大学医学部心臓・血管内科学
ページ範囲:P.502 - P.511
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AGEs(advanced glycation end-products;終末糖化産物)は,グルコースなどの還元糖と蛋白質との間の非酵素的糖化反応(発見者の名にちなんでMaillard反応とも呼ばれている)の後期段階で生成する構造体の総称であり(図1),近年,種々のAGEs構造が生体内で存在することが明らかとなってきている。これまでAGEsは,糖尿病(diabetes mellitus;DM)血管合併症の発症・進展に直接関与するものとして,その研究は進められてきた1-3)。最近では,認知症4,5),癌6),高血圧7,8),非アルコール性脂肪性肝炎(non-alcoholic steatohepatitis;NASH)9)などにも関与することが明らかとなり,新たな分野の研究が展開されている。このように,AGEsはDM血管合併症をはじめとする生活習慣病に関与していることが報告されているが,未だ生体内で生成するAGEs構造およびその経路の全貌を解明するには至っていない。その主な理由は,実際に病気の原因となっているtoxic AGEs(TAGEと命名)ではなく,生体防御的な意味合いで形成(averting path)されていると考えられるnon-toxic AGEs(カルボキシメチルリジン,ペントシジン,ピラリンなど)を中心に研究が進められてきた経緯からである。
本稿では,AGEsの概念および生体内AGEs生成経路を概説するとともに,生活習慣病における“TAGE病因説”5,10)について言及していく。