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文献詳細

雑誌文献

生体の科学58巻6号

2007年12月発行

文献概要

特集 グリケーション(糖化)

腎臓によるAGEの代謝機構:近位尿細管上皮細胞の役割

著者: 斎藤亮彦1 飯野則昭1 竹田徹朗2 下条文武2

所属機関: 1新潟大学大学院医歯学総合研究科機能分子医学講座 2新潟大学大学院医歯学総合研究科内部環境医学講座

ページ範囲:P.540 - P.542

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1 腎不全におけるAGEの蓄積

 腎不全時には糖尿病の有無によらずAGEが体内に蓄積する。腎不全患者におけるAGEの蓄積は,動脈硬化1),心筋肥大2),炎症3),栄養障害3),および透析アミロイドーシス4)などの合併症の発症・進展に関係すると考えられている。腎不全に伴ってAGEが蓄積するということは,本来,腎臓という臓器が生体内でAGEが蓄積することを防ぐ働きがあるということを示している。その機序を大きく分けて考えると,腎臓がAGEを除去しているか,あるいはAGEの生成を抑制しているということになる。前者にはAGEの代謝あるいは排泄機序が考えられ,後者にはAGE前駆体(反応性カルボニル化合物)の除去(代謝あるいは排泄),生成抑制,あるいは腎臓が産生する何らかの分子によるAGE生成抑制などの機序が考えられる。

 ちなみに,肝硬変においてもAGEが蓄積し,肝移植によってそれが改善することが報告されているが5),これも主に,肝臓におけるAGE代謝の障害による機序が想定されている6)。そして腎不全においても肝不全においてもAGEが蓄積するということは,腎臓と肝臓の両者の機能がAGEの蓄積防止に重要であるということ,また,一方の機能障害は他方の機能によって代償されないということを意味している。それはおそらく,腎臓と肝臓で代謝されるAGEの種類の違い,たとえば,高分子量のAGEは肝臓で代謝され,低分子量のAGEは腎臓で代謝されるという可能性を示している。

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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