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文献詳細

雑誌文献

生体の科学59巻1号

2008年02月発行

文献概要

連載講座 中枢神経系におけるモジュレーション・6

前シナプスセロトニン受容体を介するグルタミン酸作動性シナプスの変調

著者: 舩橋誠1 松尾龍二2

所属機関: 1北海道大学大学院歯学研究科口腔機能学講座口腔生理細胞情報学教室 2岡山大学大学院医歯薬学総合研究科口腔生理学分野

ページ範囲:P.59 - P.65

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 中枢神経系において,セロトニン5-hydroxytryptamine(5-HT)は脳幹の正中部に位置する縫線核群のニューロンによってL-トリプトファンから生成され,軸索輸送により脳内の極めて広い領域に放出される。大脳皮質,大脳基底核,大脳辺縁系から小脳にかけての領域に放出される上行性5-HT経路と,脊髄や三叉神経脊髄路核にいたる領域に放出される下行性5-HT経路がある。また,5-HTは上部消化管粘膜に存在する陽クロム親和性細胞(Enterochromaffin cell:EC細胞)においてもたくさん生成される。中枢神経系や腸内の神経叢において生成された5-HTは,シナプス部における神経伝達物質として,または神経終末部に増加して神経修飾物質として働く。5-HTの作用は,心血管系および腸管の運動調節,腸液の分泌調節などの末梢作用から,精神活動や食欲調節,さらには記憶・学習といった高次脳機能に関わる中枢作用まで明らかにされている。生体において5-HTの作用が多岐にわたってみられる理由の一つとして,5-HT受容体にたくさんの種類があることが考えられる。本稿では5-HT受容体のサブタイプおよびその受容機構について概説すると共に,脳内のグルタミン酸作動性シナプスに的を絞り,前シナプス5-HT受容体を介するグルタミン酸放出の調節についてレビューする。

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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