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グルタミン酸トランスポーター高親和性ブロッカーの開発
著者: 島本啓子1
所属機関: 1(財)サントリー生物有機科学研究所
ページ範囲:P.73 - P.79
文献購入ページに移動 グルタミン酸は哺乳動物の中枢神経系における代表的な興奮性神経伝達物質として,記憶や学習といった高次の脳機能を司っている。その一方で,高濃度のグルタミン酸は神経細胞死を引き起こす興奮毒でもある。興奮性神経伝達は,神経伝達物質であるグルタミン酸の放出・受容・除去という過程でそれぞれ制御されている(図1A)。伝達機構解明には,それぞれの過程に選択的に作用する化合物が必要である。これまでは主に受容体の活性化・不活性化という観点から制御物質が考えられ,薬物創成のターゲットとされてきたが,近年「除去」の過程にも関心が集まっている。グルタミン酸の除去は主にグルタミン酸トランスポーターによるグリア細胞への取込で行われている。トランスポーターの機能不全はALS(筋萎縮性側索硬化症)やてんかんといった神経疾患とも関わっていることが示唆されている。われわれはトランスポーターの機能制御に向けた阻害剤の開発について取り組んできた。本稿ではトランスポーター選択的ブロッカーDL-TBOA(DL-threo -β-benzyloxyaspartate)の創製とTBOAによる機能解析,さらに高親和性の阻害剤の開発について述べる。
参考文献
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