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文献詳細

雑誌文献

生体の科学59巻2号

2008年04月発行

文献概要

特集 細胞外基質-研究の新たな展開

ヘパラン硫酸プロテオグリカンの器官形成と疾患における役割

著者: 羽渕弘子1 木全弘治2

所属機関: 1愛知医科大学分子医科学研究所 2愛知医科大学先端医学・医療研究拠点

ページ範囲:P.84 - P.91

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 ヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)は,タンパク芯に硫酸化グリコサミノグリカンの一種であるヘパラン硫酸(HS)を付加した負電荷に富んだ高分子である。これらHSPGは細胞表面と細胞外マトリックス・基底膜の普遍的な構成分子である。そのHS鎖部分はヘパリン結合性細胞増殖因子,形態形成因子,細胞外マトリックス・基底膜成分,プロテアーゼインヒビター,プロテアーゼ,リパーゼなど非常に広範なタンパク質と結合し,その活性を制御する1-4)。これらリガンドとHSの結合は生化学的研究やX-線結晶解析による研究から,HSの特異な構造,特に硫酸基のパターンによるものやHS鎖の負電荷に依存するものがあることがこれまでに明らかにされている5,6)

 この10年あまり,HS合成に関連する遺伝子群のクローニングに続き変異体動物が作製され,解析の結果,HS鎖は種々の細胞増殖因子のシグナル伝達を制御して胚発生,器官形成に必須の分子であること,さらに炎症,免疫応答や脂質代謝のような生理的現象,感染症などの疾患にも深く関わっていることが明らかにされた7-10)。本稿ではこのようなHS鎖の多様な機能について筆者らの成果も含めて最近の知見を紹介する。

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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