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特集 細胞外基質-研究の新たな展開
神経筋接合部の機能におけるヘパラン硫酸プロテオグリカンの役割
著者: 平澤(有川)恵理1
所属機関: 1順天堂大学大学院老人性疾患病態治療研究センター
ページ範囲:P.101 - P.104
文献購入ページに移動 中枢神経系のシナプスと神経筋接合部の最も大きな違いは,神経筋接合部には神経と筋の間に基底膜成分を介在することである。神経筋接合部は運動神経からの電気的興奮をアセチルコリンによる化学的興奮に置き換え,筋の収縮,弛緩を制御している。筋の収縮弛緩をすみやかに行うため,筋側にはアセチルコリン受容体,アセチルコリンを分解するアセチルコリンエステレースのほか,筋特異的キナーゼ(MuSK),ニューレグリン,ラプシンなどの分子が集束している。神経筋接合部に濃縮する分子の多様性,局在する分子の糖鎖修飾の多彩さは筋の収縮弛緩という特殊な機能を遂行するためと考えられる1)。神経筋接合部には接着分子や細胞外マトリックス分子が豊富であり,神経筋接合部が筋収縮というメカニカルストレスに抗するためと想像される。多くの細胞外マトリックス分子の中でもヘパラン硫酸鎖を保持するヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)は,いくつかの分子の神経筋接合部への集合,濃縮を制御するとして注目される。神経筋接合部にはいくつかのHSPGが時期特異的,組織特異的に発現するが,ヘパラン硫酸鎖とコア蛋白質の機能の違いについての詳細などは充分わかっていない1)。HSPGには膜貫通型のシンデカンファミリー,GPIアンカー型のグリピカンファミリー,アグリン,パールカンに代表される基底膜型の存在が知られる(図1)。
本稿では神経筋接合部におけるアグリンの機能について概説し,パールカンの機能とヒトパールカン欠損疾患の症状との関連性に焦点をあてる。
本稿では神経筋接合部におけるアグリンの機能について概説し,パールカンの機能とヒトパールカン欠損疾患の症状との関連性に焦点をあてる。
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