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特集 細胞外基質-研究の新たな展開
文献概要
基底膜は,上皮構造をもつすべての多細胞動物に存在する細胞外マトリックスのプロトタイプである1)。最も下等な後生動物である刺胞動物でも,内胚葉と外胚葉の境界には基底膜が存在する。後生動物の基本構造である上皮と基底膜は不可分の関係にある。初期発生においても,最初に形成される細胞外マトリックスは基底膜で,内胚葉と外胚葉からなる二胚葉期にすでに存在している2)。基底膜が初期胚における細胞の分化の開始とともに形成されるという事実は,基底膜が細胞分化と密接に関わっていることを想像させるが,その実態は未だ不明である。その最大の原因は,三次元超分子複合体である基底膜の操作と細胞分化のモニタリングを同時に達成できる実験系がほとんどなかったことにあると考えられる。本稿では,in vitro で基底膜を形成しながら分化する胚様体(embryoid body)とマウス初期胚の解析を通して明らかにされた初期胚細胞分化における基底膜の役割について,最近の知見を交えて紹介したい。
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