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特集 細胞外基質-研究の新たな展開
組織リモデリングにおけるテネイシンの役割
著者: 吉田利通1 石垣共基1 今中-吉田恭子1
所属機関: 1三重大学大学院医学系研究科修復再生病理学分野
ページ範囲:P.123 - P.128
文献購入ページに移動このような動的な場を作り出す物質として,リモデリングの初期から最盛期の組織で細胞間に一過性に高発現するタンパクを,matricellular proteinとしてまとめる考え方が近年提唱されている1)。これには,オステオポンチン,テネイシン(TN),トロンポスポンディンなどの細胞外マトリックス糖タンパクが含まれている。これらのタンパクはいずれも発生期では高発現しているが,成体の正常組織での発現は極めて限定的で,線維や基底膜といった構造物を形成せず,細胞と基質間の結合を動的な状態に変化させ,多彩な生物活性により細胞と細胞外の物質との相互作用を修飾することを特徴としている。これらのタンパクの遺伝子欠失(KO)マウスは,不思議なことに一見正常に出生してくることも特徴のひとつにあげられている。
この総説では,matricellular proteinの代表的なタンパクのひとつであるTNについて,構造と機能,組織リモデリングでの役割などを述べ,病態診断への応用についても紹介したい。
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