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文献詳細

雑誌文献

生体の科学59巻2号

2008年04月発行

文献概要

特集 細胞外基質-研究の新たな展開

細胞-細胞外基質インターフェイスの病理生物学―組織内微小環境モジュレーター分子ADAMの機能と疾患への関与

著者: 佐々木文1 岡田保典1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部病理学教室

ページ範囲:P.129 - P.133

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 多細胞生物は,極言すると細胞と細胞外基質(ECM=extracellular matrix)から構成され,細胞は細胞-細胞間や細胞-ECM間の結合により細胞集団を形成し,多彩な細胞機能を果たしている。また,ECMは組織形態の保持,代謝物質の通路,物質のフィルター作用,バリア形成,増殖因子・サイトカインなどの細胞外シグナル分子の貯蔵庫などの役割を担っている。臓器・組織における細胞集団の形成や構造・機能の維持は,細胞間接着分子,受容体,細胞外シグナル分子,ECMなどからなる組織内微小環境因子によってコントロールされている。組織内微小環境因子の代謝は,細胞とECMとの密接な位置的関係から,主として「細胞-ECMインターフェイス」で行われ,個体の発生・分化時などの生理的な組織リモデリングでみられるほか,関節炎などの炎症性疾患や癌細胞浸潤などの組織破壊性疾患において亢進する。

 組織内微小環境因子の分解にはメタロプロテアーゼが中心的な役割を果たしており,MMP(matrix metalloproteinase)遺伝子ファミリーとADAM(a disintegrin and metalloproteinase)遺伝子ファミリーが関わっている。両ファミリーの基質特異性には重複がみられるものの,MMPはECMの分解に中心的な役割を果たし,ADAM分子は主として細胞間接着分子,受容体,細胞外シグナル分子の代謝に関与すると考えられている。MMPについては他稿で解説されていることから,本稿では組織内微小環境モジュレーターとしてのADAMファミリー分子の構造と機能および疾患への関与について概説する。

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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