icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学59巻2号

2008年04月発行

文献概要

連載講座 中枢神経系におけるモジュレーション・7

視索上核ニューロンのオピオイドによる前シナプスモジュレーション

著者: 稲永清敏1

所属機関: 1九州歯科大学生命科学講座生理学分野

ページ範囲:P.151 - P.156

文献購入ページに移動
 視床下部視索上核にはバゾプレッシンとオキシトシンを分泌する神経分泌ニューロンが存在する。下垂体後葉より血中に放出され,オキシトシンは乳腺に働いて乳汁分泌を促進し,分娩時には子宮に働いて子宮を収縮し分娩を促進する。バゾプレッシンは,腎臓の集合管に働き水の再吸収を行うとともに血管を収縮し血圧を上昇させる。

 オキシトシンやバゾプレッシンの下垂体からの放出は,神経分泌ニューロンの活動に依存している。神経分泌ニューロンの神経活動は,様々な神経伝達物質あるいは修飾物質により調節されている。これらの物質のひとつがオピオイド類であり,バゾプレッシンおよびオキシトシン分泌ニューロンの神経活動はオピオイドによって抑制を受ける。オピオイドは前シナプス性および神経分泌ニューロン自身に作用し,ニューロンの活動を抑制する1-4)(レビューとしてBrownら,20005))。視索上核には,他の脳領域からオピオイド線維の投射や6,7),オピオイド受容体が多く認められている8)。さらに神経分泌ニューロンには,オキシトシン分泌ニューロンはエンケファリンと,バゾプレッシン分泌細胞はダイノルフィンとの共存が観察され9),オピオイドによるオートクライン作用も示唆されている5,10,11)。本稿では,神経分泌ニューロンに対するオピオイドの直接作用について述べ,次にオピオイドによる前シナプス性の抑制作用について述べる。

参考文献

58:331-340, 1994
2:389-395, 1990
16:198-207, 2004
95:3235-3244, 2006
36:97-120, 2000
198:541-565, 1981
232:365-374, 1982
11:308-314, 1988
78:1260-1263, 1981
557(Pt 3):949-960, 2004
124:105-111, 2004
177:31-63, 2007
55:509-550, 2003
81:299-343, 2001
37:635-645, 1990
513(Pt 3):787-804, 1998
36:291-298, 1990
81:1617-1625, 1999
20:757-764, 1988
10:1-7, 1998
82:3000-3005, 1999
470:539-558, 1993
133:97-103, 2005
524(Pt 3):769-781, 2000
95:2032-2041, 2006
50:343-354, 2004
482(Pt 1):69-79, 1995
17:264-269, 1996
49:636-645, 1996
312:441-448, 2005
93:2530-2540, 2005
98:1591-1599, 2007
575(Pt 3):761-776, 2006
27:9721-9728, 2007
446:1086-1090, 2007
541(Pt 1):219-230, 2002
518(Pt 3):803-813, 1999
140:1088-1096, 2003
115:1515-1526, 2005
139:1095-1105, 2006
22:2998-3004, 2002
148:795-806, 2006
26:13037-13047, 2006
25:3192-3198, 2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?