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文献詳細

雑誌文献

生体の科学59巻3号

2008年06月発行

文献概要

特集 アディポゲネシス

脂肪細胞分化における新しい遺伝子fad24の機能

著者: 城村由和1 今川正良1

所属機関: 1名古屋市立大学大学院薬学研究科分子生物薬学分野

ページ範囲:P.160 - P.166

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 肥満は糖尿病,脂質代謝異常症,高血圧症などの生活習慣病が重積するメタボリックシンドロームの主要なリスクファクターであり,心疾患や脳血管疾患発症に深く関与することが明らかになりつつある1)。現代は,文明が発達し多くのエネルギーを簡単に摂取できる社会であるために,世界規模でメタボリックシンドロームの患者数が急増している。欧米では全人口の25%に達し,本邦においても,厚生労働省の2004年国民健康・栄養調査で,予備軍を含めると1,960万人にのぼると報告されている。21世紀の健康科学を考える上で,日本人の死因の上位を占める心疾患や脳血管疾患の克服は必須であることから,それに直結する肥満の分子機構の解明は最重要課題の一つだと考えられる。

 肥満とは,エネルギー摂取と消費のアンバランスにより体内に過剰な脂肪組織が蓄積した状態である。従来,肥満の形成には,成熟脂肪細胞がより多くの脂肪を蓄積し,その体積を増加させることにより引き起こされる脂肪細胞の肥大化が重要であるとされてきた2)。しかし近年の研究により,エネルギーバランスの崩れによる脂肪細胞数の増加も,肥満形成の大きな要因となることが明らかになった3)。脂肪細胞数の増加には,前駆脂肪細胞の増殖や脂肪細胞への分化が深く関与している。それゆえ,肥満やそれに起因する疾病の創薬開発や治療には,脂肪細胞の肥大化のメカニズムのみならず,前駆脂肪細胞の増殖・分化の分子機構を解明することが極めて重要である。

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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