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特集 アディポゲネシス
Krüppel-like factor5は脂肪細胞分化のキーレギュレーターである
著者: 大石由美子1 真鍋一郎1 永井良三1
所属機関: 1東京大学大学院医学系研究科循環器内科
ページ範囲:P.167 - P.171
文献購入ページに移動Krüppel-like factor5(KLF5)はKrüppel-like factor(KLF)ファミリーに属する転写因子である。この転写因子ファミリーは現在までに16種類が知られている(図1A)。C末にzinc fingerモチーフを3回リピートした構造をとり,ターゲット遺伝子上の“CACCC”という特徴的なKLFサイトを認識し結合して転写を調節する(図1B)。KLFファミリーに属する複数の転写因子が,脂肪細胞分化や代謝調節に関わることが報告されている1-3)。例えば,KLF2は前駆脂肪細胞に発現し,脂肪細胞分化を抑制するが4),脂肪細胞分化とともにその発現は減少する。一方,KLF15は脂肪細胞分化のマスターレギュレーターとしての役割をもつ転写因子PPARγ2を誘導する転写因子群のひとつとして脂肪細胞分化を正に調節する5)だけでなく,GLUT4を直接誘導して脂肪細胞機能を調節する可能性が示されている。また,肝臓での糖新生にも重要な役割を担うことが報告されている6,7)。ほかにも,KLF7遺伝子の一塩基変異(SNP)が糖尿病の有病率と関連するとの報告8),KLF11が膵β細胞機能異常や糖尿病の発症に関連する9,10)ことが知られている。
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