文献詳細
文献概要
特集 アディポゲネシス
脂肪細胞の分化におけるカルパインの役割
著者: 矢島由紀子1 佐藤眞友美2
所属機関: 1東京都臨床医学総合研究所ゲノム動態プロジェクト 2東京都臨床医学総合研究所がん治療プロジェクト
ページ範囲:P.181 - P.188
文献購入ページに移動カルパイン(EC3.4.22.17,clan CA family C2)はバクテリアから哺乳類までに広範囲に存在し,活性化にCa2+を必要とする細胞内中性システインプロテアーゼである。カルパインは通常,細胞質に不活性型で存在し,Ca2+イオンとリン脂質によって活性化される。その過程は,膜分画へのカルパインの移行によってサブユニットが乖離して活性化される。カルパインが触媒するタンパク質分解は典型的な限定分解であり,その結果,基質タンパク質の活性化や不活性化,もしくは変性が起こる。カルパインのin situ活性はカルパイン濃度,Ca2+濃度,カルパインの細胞内存在様式,そして内在性の阻害因子カルパスタチンによって調節されている。われわれは,カルパインが成体由来と胎児由来の脂肪細胞の分化において,ユニークな役割を果たすことを見出したので紹介する。
参考文献
掲載誌情報