icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学59巻4号

2008年08月発行

文献概要

特集 免疫学の最近の動向

キラーT細胞の教育に必要な酵素,胸腺プロテアソームの発見

著者: 村田茂穂1

所属機関: 1東京大学大学院薬学系研究科蛋白質代謝学教室

ページ範囲:P.253 - P.259

文献購入ページに移動
 病原体や異物に特異的に対処することによってそれらの排除と再感染防止を行うのが,免疫応答の中でもとくに適応免疫(あるいは獲得免疫)とよばれるシステムである。適応免疫応答はおもにT細胞とB細胞とよばれる2種類のリンパ球によって担われる。B細胞は活性化すると抗体を産生・分泌する形質細胞に分化する。T細胞はさらに2種類に分類され,ウイルス感染細胞などを直接攻撃するCD8T細胞(細胞傷害性T細胞,キラーT細胞とも呼ばれる)と,B細胞やマクロファージなど別の細胞を活性化するCD4T細胞とに分けられる。T細胞もB細胞も,骨髄(胎生期には肝臓)由来の造血幹細胞から発生するが,B細胞はそのまま骨髄(Bone Marrow)中で分化するのに対して,T細胞は胸腺(Thymus)という心臓にかぶさるように存在する特殊な臓器の中で分化する。未熟なT細胞は,胸腺の中を移動しながら非自己と反応しうる有用な細胞を選別する「正の選択」と自己と反応する細胞を除去する「負の選択」をうける。このうち「正の選択」はこれまで,特別なメカニズムが存在するかどうかさえ不明であったが,胸腺に発現する特殊なプロテアソームが「正の選択」に関与していることが最近明らかになった。本稿では,胸腺におけるT細胞の分化機構を概説しつつ,最近筆者らが発見した新しいT細胞分化機構について紹介する。

参考文献

398:77-80, 1999
207:166-183, 2005
425:397-402, 2003
17:45-53, 2005
307:593-596, 2005
102:7922-7927, 2005
83:91-131, 2004
21:139-176, 2003
6:127-135, 2006
298:1395-1401, 2002
6:56-61, 2000
78:483-494, 2000
17:393-398, 1997
122:247-260, 2005
163:161-176, 1998
316:1349-1353, 2007
(in press)
(in press)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら