文献詳細
特集 免疫学の最近の動向
抗原提示:ダイレクトプレゼンテーションとクロスプレゼンテーション
著者: 今井純1 矢原一郎2
所属機関: 1高崎健康福祉大学薬学部細胞生理化学研究室 2(株)医学生物学研究所伊那研究所
ページ範囲:P.260 - P.267
文献概要
このように,MHCⅠとMHCⅡは,生体内で局在の異なるタンパク質を局在・特異性を異にするプロテアーゼで分解し,生成する異なった種類のペプチド群を異なる機能を持つT細胞に提示する役割を果たしている。したがって,同じタンパク質由来のペプチドであっても,MHCⅠに提示されているペプチドとMHCⅡに提示されているペプチドとでは種類,機能共に異なっている。ところが,近年,MHCⅡに提示されるはずの外来抗原がMHCⅠに提示されるクロスプレゼンテーション(cross presentation;CP)経路が存在し,このCP経路が細胞性免疫の活性化に必須な役割を果たしていることが明らかとなった。DPとCPは表裏一体となって,細胞性免疫による感染細胞や癌細胞の駆除に不可欠な役割を果たしている(図1)。本稿では,この両者を対比しつつ,MHCⅠへの抗原提示の機序を最新の知見を交えて紹介する。
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