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文献詳細

雑誌文献

生体の科学59巻4号

2008年08月発行

特集 免疫学の最近の動向

Th17誘導性気道炎症とマスト細胞

著者: 大保木啓介1 大野建州1 梶原直樹1 斎藤博久1 中江進2

所属機関: 1国立成育医療センター研究所免疫アレルギー研究部 2東京大学医科学研究所フロンティア研究拠点

ページ範囲:P.280 - P.288

文献概要

 喘息は日本でおよそ200万人,世界でおよそ3億人にのぼる人々が罹患している呼吸器系の慢性炎症疾患である。遺伝子欠損マウスを用いた喘息モデルの解析から,喘息の発症および病態形成のメカニズムの解明や治療法の確立に大きな進歩が見られているものの,喘息病態の多様性は完全に理解されるに至っておらず,ステロイドの効かない重症喘息や喘息死を含め,喘息はいまだ難治性疾患として認知されている。

 これまで,血中の高IgE値と好酸球の気道浸潤を伴う病態(アトピー型)が喘息の特徴とされてきた。しかし近年,血中IgE値の上昇は認められず,好酸球ではなく好中球の浸潤を伴う病態(非アトピー型)の喘息患者が存在することが明らかとなった1)(図1)。また,アトピー型患者も均一集団ではないことが指摘されており,重症度と炎症像(好酸球/好中球の浸潤数)によってさらに分類される。軽症および中等症の患者は好酸球優位の炎症像を呈し,重症患者では好中球優位の炎症像が観察される2)(図1)。重症患者は,さらに好中球優位の患者と好酸球/好中球の両方の浸潤を認める患者に分類され,後者の好酸球/好中球複合型の方がより重症度が高い。好酸球優位の炎症像を呈する軽症および中等症の患者ではステロイド投与による症状の寛解が顕著であるのに対し,好中球優位の炎症像をもつ重症患者では,ステロイドによる治療効果が低い3)

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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