文献詳細
特集 免疫学の最近の動向
Th17誘導性気道炎症とマスト細胞
著者: 大保木啓介1 大野建州1 梶原直樹1 斎藤博久1 中江進2
所属機関: 1国立成育医療センター研究所免疫アレルギー研究部 2東京大学医科学研究所フロンティア研究拠点
ページ範囲:P.280 - P.288
文献概要
これまで,血中の高IgE値と好酸球の気道浸潤を伴う病態(アトピー型)が喘息の特徴とされてきた。しかし近年,血中IgE値の上昇は認められず,好酸球ではなく好中球の浸潤を伴う病態(非アトピー型)の喘息患者が存在することが明らかとなった1)(図1)。また,アトピー型患者も均一集団ではないことが指摘されており,重症度と炎症像(好酸球/好中球の浸潤数)によってさらに分類される。軽症および中等症の患者は好酸球優位の炎症像を呈し,重症患者では好中球優位の炎症像が観察される2)(図1)。重症患者は,さらに好中球優位の患者と好酸球/好中球の両方の浸潤を認める患者に分類され,後者の好酸球/好中球複合型の方がより重症度が高い。好酸球優位の炎症像を呈する軽症および中等症の患者ではステロイド投与による症状の寛解が顕著であるのに対し,好中球優位の炎症像をもつ重症患者では,ステロイドによる治療効果が低い3)。
参考文献
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