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文献詳細

雑誌文献

生体の科学59巻4号

2008年08月発行

文献概要

特集 免疫学の最近の動向

転写因子FoxP3を中心とした制御性T細胞の分子メカニズム

著者: 小野昌弘12

所属機関: 1大阪大学免疫学フロンティア研究センター 2京都大学再生医科学研究所

ページ範囲:P.289 - P.295

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 制御性T細胞(regulatory T cells;Treg)とは,生体に不適切な免疫反応を抑制し,免疫疾患の発症回避に必要不可欠な生体維持機構である1)。Tregは免疫反応抑制に特化したCD4 T細胞であり,抗原刺激により活性化して,周囲のT細胞の活性化・増殖を抑制する活性(Tregの抑制活性)を発揮し,免疫反応を抑制する1)。Tregは,正常免疫系にも相当量存在する自己抗原・環境中アレルゲン・腸内細菌などに反応する潜在的病原性T細胞の活性化・増殖を抑制することで免疫系のホメオスタシスを保つ。実際に,Tregを先天的に欠損する患者(IPEX症候群,下記)は,病原性T細胞の活性化を抑制できないことから自己免疫病・アレルギー・炎症性腸疾患などの免疫制御異常を呈する。

 Tregは自己免疫病を抑制する一方で,がん免疫や抗病原体免疫といった有用な免疫反応も抑制することが明らかになってきている1)。Tregは,こうした広範な免疫反応における抑制活性をもつことから免疫療法の標的として期待され,近年研究が盛んに行われている。最近,Tregの分子メカニズムはTregの表現型形成に必要とされる転写因子FoxP3を中心に明らかになりつつある。本稿では,FoxP3を中心としたTregの分子メカニズムについて最近の知見を紹介したい。

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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