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文献詳細

雑誌文献

生体の科学59巻4号

2008年08月発行

文献概要

特集 免疫学の最近の動向

Tunneling nanotubule(TNT)と免疫細胞間相互作用

著者: 長谷耕二1

所属機関: 1理化学研究所免疫アレルギー科学総合研究センター免疫系構築研究チーム

ページ範囲:P.302 - P.306

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 免疫系は複数の免疫担当細胞と間葉系・上皮系細胞によって構成されている。免疫担当細胞の分化やリンパ組織の形成,外来抗原の認識と免疫応答とその終結など,あらゆる局面において,免疫系を構成する細胞間の情報伝達が重要な役割を果たしている。そのため,免疫ネットワークはこうした細胞間情報の制御を基盤として成り立っているといえよう。免疫担当細胞間における情報の伝達手段はこれまで複数報告されている。代表的なものとして,サイトカインの傍分泌(paracrine)によるシグナリングや,エキソソーム(exosome)や免疫シナプスを介した抗原提示およびco-stimulationが挙げられる1,2)。この他にも上皮細胞間に形成されるgap junctionは,ウイルス抗原ペプチドの輸送に重要と考えられている3)

 最近の研究で,離れた細胞間に細長いチューブル(membrane tubule)が形成されることで,細胞間相互作用が促進されることが報告されている。この細胞と細胞を繋ぐ細管はtunneling nanotubule(TNT)と呼称され,免疫細胞における新たな情報伝達手段として注目されている4,5)。本稿では,筆者らの実験結果を含めてTNTに関する最新の知見を紹介したい。

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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