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特集 現代医学・生物学の仮説・学説2008 1.細胞生物学
オートファジーにおける膜動態
著者: 大隅良典1
所属機関: 1基礎生物学研究所分子細胞生物学研究部門
ページ範囲:P.344 - P.345
文献購入ページに移動 本稿ではリソソームにおける細胞質成分の分解の主要な経路であるマクロオートファジーに限定して話を進める。危険な細胞内の分解に対する戦略の一つは膜内に分解酵素を隔離することであり,そのためリソソーム系の分解には分解基質を膜内の酵素群に分解基質をアクセスさせるための膜動態が必須となる。オートファジーにおける最も重要な過程はリソソーム内での分解ではなく,分解すべき細胞内の基質をいかに膜で隔離し,分解コンパートメントへ送るか,すなわちオートファゴソーム(AP)形成の過程である。細胞質の一部を単膜で取り囲むことは物理的に許されないため,膜囊を伸長して閉じた空間を作ることになるので,必然的にこのコンパートメントは二重膜構造となる。オートファジーの膜動態は,研究が進んでいる小胞輸送とは異なる作動原理を含んでいる。
この15年の間にAP形成の分子機構は大きく展開し始めたが,以下のような古典的で基本的な問題は依然として謎のままである。
この15年の間にAP形成の分子機構は大きく展開し始めたが,以下のような古典的で基本的な問題は依然として謎のままである。
参考文献
119:301-311, 1992
124:903-913, 1994
130:165-178, 2007
19:2039-2050, 2008
2:211-216, 2001
掲載誌情報