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特集 現代医学・生物学の仮説・学説2008 1.細胞生物学
核-細胞質間タンパク質輸送と高次生命現象
著者: 安原徳子1 米田悦啓1
所属機関: 1大阪大学大学院生命機能研究科細胞ネットワーク講座
ページ範囲:P.348 - P.349
文献購入ページに移動真核細胞の核を包む核膜上には核膜孔が存在する。サイズの小さなタンパク質は拡散により核膜孔を通過するが,大きなタンパク質は特定の輸送受容体により選択的に通過する。細胞質から核へと運ばれるタンパク質の多くには,アミノ酸配列上に核局在化シグナル(NLS)が存在する。一方,核から細胞質へと運ばれるタンパク質の多くには核外輸送シグナル(NES)が存在する。NLS受容体importin αは塩基性アミノ酸に富んだNLSを認識する。このようなNLSをもつ機能性タンパク質は多数存在し,importin αが多くのタンパク質の輸送を担うことが示唆される。NLSタンパク質と相互作用したimportin αに,さらにimportin βが結合して三者複合体が形成されると,importin βの機能により複合体は核膜孔を通過し,NLSタンパク質が核内へと輸送される。その後,importin αおよびimportin βはそれぞれ低分子量GTPaseのひとつであるGTP結合型Ranの機能によって再び細胞質へと運び出され,リサイクルされる。
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