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特集 現代医学・生物学の仮説・学説2008 1.細胞生物学
生体膜の曲率依存的な細胞内情報伝達機構
著者: 伊藤俊樹1 竹縄忠臣1
所属機関: 1神戸大学大学院医学研究科生化学・分子生物学講座
ページ範囲:P.370 - P.371
文献購入ページに移動いずれにしても,これら活性化機序の本質的な意義は,シグナルの受け手となる分子(上記の例ではPKCやAkt)を細胞外情報の入り口である細胞膜へ「連れて来る」ことである。細胞質内に三次元的に分散して存在する場合に比べて,細胞膜上に二次元的に集積することで分子密度は約1000倍にも上昇し,分子間相互作用やそれに伴うリン酸化などの反応ははるかに効率的に行われる。長い間,このような反応の場である生体膜は基本的に限りなく平坦な構造が想定されてきたが,近年の細胞内小胞輸送研究の進展に伴って,生体膜が単なる平面ではなく多彩な曲面を有する立体的な情報を持ちうることが明らかになってきた。本稿ではこのような「平面」から「曲面」へのパラダイムシフトに伴う,生体膜からの新たな情報伝達機構の可能性について論じる。
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