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特集 現代医学・生物学の仮説・学説2008 3.発生・分化・老化・再生医学
細胞集団としての概日時計
著者: 鵜飼英樹1 小林徹也1 上田泰己1
所属機関: 1理化学研究所発生再生科学総合研究センターシステムバイオロジー研究チーム
ページ範囲:P.396 - P.397
文献購入ページに移動海外旅行の際,いわゆる時差ぼけを感じても数日内には現地の時間に順応するように,概日時計には外界の光情報を取り込んで時刻を修正する性質が知られている(光同調能)。しかしその一方で,真夜中に強い光を浴びると体内時計が一時的に停止してしまう現象(シンギュラリティ現象)が,1970年に米国のArthur T. Winfreeにより,ショウジョウバエで発見された。この現象は後に哺乳類を含む多くの生物においても確認され,概日時計に一般的な現象として認識された。この現象の説明は,Winfree自身によって理論的な側面から二つのモデルが提案されていた。一つ目は,強い光により集団内の個々の時計細胞のリズムが停止しているというモデル(図a左)。二つ目は,個々の時計細胞の概日リズムは維持されたままだが,各細胞の時計の状態(位相)がバラバラになり(脱同調),互いのリズムを打ち消し合ってしまうために,細胞集団全体としてはリズムがほぼ平坦に見えてしまうというモデル(図a右)である。
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