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特集 現代医学・生物学の仮説・学説2008 5.神経科学
長期抑圧
著者: 田端俊英1 狩野方伸2
所属機関: 1富山大学大学院理工学研究部神経系情報工学研究室 2東京大学大学院医学系研究科神経生理学分野
ページ範囲:P.432 - P.433
文献購入ページに移動シナプス可塑性(活動依存的なシナプス伝達強度の変化)は学習・記憶の生物学的素過程であるが,そのうち伝達強度の長期的減弱をもたらすものを長期抑圧(LTD)と呼ぶ。ここでは小脳LTDを例にとりメカニズムを概説する1,2)。小脳プルキンエ細胞(PC)は,全身の感覚情報や運動指令を伝える多数の平行線維(PF)と運動誤差を伝える1本の登上線維(CF)からシナプス入力を受ける(図A)。CFと一群のPFが同期してくり返しシナプス伝達を行うと(1~4Hz,100~600回),当該PFからPCへの興奮性シナプス後電位(EPSP)が数時間以上抑圧される。小脳LTDはPCにおけるPF入力の重み付けを変更し,運動協調を円滑化する運動学習に寄与する。
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