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特集 現代医学・生物学の仮説・学説2008 5.神経科学
ミラーニューロン仮説をめぐって
著者: 酒田英夫1 村田哲2
所属機関: 1東京聖栄大学 2近畿大学医学部第一生理
ページ範囲:P.442 - P.443
文献購入ページに移動現在までに明らかになっているミラーニューロンの性質は以下の通りである2)。(1)サル自身の動作でも,他の個体や実験者の動作でも最適動作は同じである。(2)物体を対象とする動作でなければ反応しないものが多いが,対象の存在が明らかであれば,把握の動作が途中で隠れて見えなくても反応する。(3)動作を視覚的に観察しているときだけでなく,動作に伴う音を聞いたときも反応するものがある。(4)実験者が道具を使ってつかむのを見て反応,自分の指でつかむときに反応するミラーニューロンもある。(5)一部のミラーニューロンは,サルのコミュニケーション動作(lip-smackingなど)にも反応する。上記の(3)~(5)の性質は,ミラーニューロンがモダリティを超えて動作のゴールを表象していることを示唆する。
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