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特集 現代医学・生物学の仮説・学説2008 5.神経科学
視覚的物体カテゴリーの脳内表現
著者: 田中啓治1
所属機関: 1理化学研究所脳科学総合研究センター
ページ範囲:P.450 - P.452
文献購入ページに移動一方,イヌの像とネコの像をカテゴリー的に弁別する課題でサルを数ヵ月以上訓練すると,前頭前野(前頭連合野)背外側部にイヌの像すべてあるいはネコの像すべてに反応する神経細胞が現れることが報告され5),物体カテゴリーは側頭葉ではなく,前頭前野に表現されると提案された。前頭前野は下側頭葉皮質から視覚的物体情報を受け取るが,さらに視覚情報以外の多くのモダリティーの情報を受け,トップダウン注意の制御などの行動の高次制御を行う部位として知られている。物体カテゴリーを表す神経細胞が前頭前野だけにあるとすると,物体カテゴリーは行動の高次制御の中で初めて生まれてくる概念ということになる。
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