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特集 現代医学・生物学の仮説・学説2008 7.疾病
アルツハイマー病の分子病理学
著者: 西道隆臣1
所属機関: 1理化学研究所脳科学総合研究センター神経代謝機構研究グループ
ページ範囲:P.470 - P.471
文献購入ページに移動 家族性アルツハイマー病原因遺伝子変異の同定とその表現型解析によって,脳内におけるアミロイドβペプチド(Aβ)蓄積がアルツハイマー病全般における根本的原因物質であることが確立した。Aβ蓄積が始まって発症に至るまで10年以上の時間を要するので,その機構の解明は容易ではない。Aβは正常脳内でも定常的に産生されており,通常は速やかに分解されるため,蓄積することはない。Aβの定常量は産生と分解のバランスによって規定される。
Aβには40残基のアミノ酸からなるAβ40と42残基からなるAβ42の二種類が存在し,後者の重合性と凝集性が高いことから,Aβ42が一次病因分子種であると考えられる。家族性アルツハイマー病ではAβ(特にAβ42)の産生増加が病理的蓄積の原因であると考えられる。一方,孤発性アルツハイマー病の機構は確定していないが,蓄積に先立ってAβ分解系が低下するのに対して,明確な産生系の上昇は認められないことから,分解系低下が原因である可能性が高い。
Aβには40残基のアミノ酸からなるAβ40と42残基からなるAβ42の二種類が存在し,後者の重合性と凝集性が高いことから,Aβ42が一次病因分子種であると考えられる。家族性アルツハイマー病ではAβ(特にAβ42)の産生増加が病理的蓄積の原因であると考えられる。一方,孤発性アルツハイマー病の機構は確定していないが,蓄積に先立ってAβ分解系が低下するのに対して,明確な産生系の上昇は認められないことから,分解系低下が原因である可能性が高い。
参考文献
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