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特集 現代医学・生物学の仮説・学説2008 7.疾病
養育行動とその異常
著者: 黒田公美1
所属機関: 1理化学研究所脳科学総合研究センター黒田親和性社会行動研究ユニット
ページ範囲:P.482 - P.483
文献購入ページに移動 親が与える養育は,子どもの人格形成や種々の精神疾患への感受性に大きな影響を及ぼす。不適切養育を治療・予防するためには,養育本能を司る神経機構についての理解が必要である。
哺乳をはじめとして身体を清潔に保つ,保温する,外敵から守るなどの「仔の生存の可能性を高めるような親の行動」を養育行動と総称する1)。養育行動はすべての哺乳類の存続に必須であることから,親の脳内で養育本能を司るメカニズムも基本的な部分は哺乳類内で保存されていると考えられる。本稿では,げっ歯類モデルを用いた最近の研究を中心に,養育行動を制御する脳領域,分子について概説する。
哺乳をはじめとして身体を清潔に保つ,保温する,外敵から守るなどの「仔の生存の可能性を高めるような親の行動」を養育行動と総称する1)。養育行動はすべての哺乳類の存続に必須であることから,親の脳内で養育本能を司るメカニズムも基本的な部分は哺乳類内で保存されていると考えられる。本稿では,げっ歯類モデルを用いた最近の研究を中心に,養育行動を制御する脳領域,分子について概説する。
参考文献
1)Krasnegor NA, Bridges RS:Mammalian parenting:biochemical, neurobiological, and behavioral determinants, pp502, Oxford UP, New York, 1990
2)黒田公美:実験医学(増刊) 25:199, 2007
86:297, 1996
36:121, 2007
1211:57-71, 2008
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