icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学59巻6号

2008年12月発行

特集 mTORをめぐるシグナルタンパク

変異TSC2とスモールGタンパク質の活性化

著者: 山本祐司1 田所忠弘1 鈴木司1

所属機関: 1東京農業大学応用生物科学部生物応用化学科栄養生化学研究室

ページ範囲:P.504 - P.510

文献概要

 TSC1,TSC2遺伝子は,家族性腫瘍の一つである結節性硬化症の原因遺伝子として同定された癌抑制遺伝子ファミリーの一つであり,それぞれhamartin,tuberinタンパク質をコードする。複合体を形成したhamartinとtuberinはスモールGタンパク質ファミリーのRhebを介し,インスリンシグナル経路内のタンパク質合成をつかさどるmTORを負に制御することが明らかとなったものの,この単一経路だけでは両遺伝子の機能欠失により認められる多岐にわたる細胞機能異常についての説明が十分とはいえないのが現状である。そのことからhamartinとtuberinは多様な機能を持つシグナル因子(multifunctional protein)として作用する可能性が示唆された。

 本稿では,tuberinの細胞遊走への関与に着目し,分子レベルでそのメカニズムを明らかにすることにより,結節性硬化症の発症機構のみならず,細胞遊走の新規シグナル経路の解明につながるものと考えた。一般に細胞遊走は,スモールGタンパク質であるRhoA,Cdc42,Rac1に代表的されるタンパク質であるRhoファミリーによりコントロールされるが,筆者らはtuberinがその中でもRac1の活性を制御し,されにRac1を介し活性酸素種の産生にも寄与することを明らかにした1)

参考文献

368:132-137, 2008
22:588-603, 2004
10:151-162, 2002
:272:6097-6100, 1997
404:210-217, 2002
295:512-524, 2004
38:376-381, 2003
36:1269-1274, 2000
276:21017-21021, 2001
98:8762-8767, 2001
5:236-241, 2003
11:1163-1182, 2004
280:5870-5874, 2005
25:695-705, 2006
281:38519-38528, 2006
277:30958-30967, 2002
21:8470-8476, 2002
6:1122-1128, 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら